「フィールドワーク」で、
2年次までの学びに基づき実務体験
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立正大学法学部の「フィールドワーク」という科目は、国会議員秘書会や自治体(市町村)、企業に出向いて実際に仕事を体験し、1、2年次に学んだ法学がどう実務にかかわっているのかを学ぶ授業です。3年次から始まる授業ですが、2年次から特別に参加できるプログラムもあります。これまでに、花澤さんは3か所、神戸さんは2か所でフィールドワークを経験していますね。
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私はまず2年次の夏休みに地元の銚子市のフィールドワークに行き、土木課に配属されました。「道路の修理が必要」という市民の方の通報に対応したり、事前にパトロールしたりして補修が必要な箇所を点検したほか、建築基準法が関連する仕事もしました。
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私も2年次の夏休みに銚子市役所の教育総務課に行きました。この課の主な仕事は学校施設の管理です。学校の統廃合の時にどちらの建物を残すかという検討から、学校が遠くなった生徒に対して市が交通費を支給する場合にはその窓口まで担当します。フィールドワークに行ったときは、市立幼稚園の統合が行われているところで、改修の手続きに同行したり、統廃合の議論をしている市議会を傍聴したりしました。
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銚子市役所での試みは2018年から始まり、2年生6~7人が参加しました。法学部の学生は法律に関わる書面を読みこなせるのが強みです。実際の現場に出て、書面が読めた、という経験をすると、その後の授業への取り組みも変わってきます。
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そうですね。公務員は法律に深く関連する仕事をしているのだ、と実感しました。
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3年次の後期には法学部が協定を結んでいる品川区教育委員会の教育総合支援センターで業務のお手伝いをするインターンボランティアをしました。
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この授業では、センターに学びに来る子どもたちの勉強のサポートをしたり、会話をしてコミュニケーションの練習相手になったりしました。
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自分が思っていた以上に、子どもたちは一人ひとりちがいます。何がその子にとってベストな対応なのかを、自分なりに考えなければいけないと感じました。
「現場で体験すること」の意味
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2人がフィールドワークに参加した動機と、実際に経験して感じたことを教えてください。
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将来は地方に関わる仕事がしたいと考えています。でも、地方に貢献=公務員ではなく、いろいろな現場を見て将来の道を決めたいと思い、自治体と企業の両方のフィールドワークに参加しました。実際に経験してみて「自分にはまだまだ知らないことがたくさんある」と気づき、もっと勉強したいと思うようになりました。
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公務員志望ですが、一概に公務員と言ってもいろいろな仕事があります。教育に興味があったので、その現場を知りたいと思ったのが参加のきっかけです。銚子でも品川でも実際に経験したことで予想以上の気づきを得られました。民間企業から公務員に転じた方もいらしたし、いろいろな考え方に触れられて、その結果、自分本位ではなく、以前よりまわりが見えるようになりました。社会人として要求されることや責任の重さを知り、課の中の協力体制や主体的な働き方を見ることができたのもよかったです。
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少しでも興味があったら、思い切って飛び込んでみるのは大事だなと思いました。公務員志望の後輩にも履修を勧めています。
フィールドワークによって考えが深く、幅も広がる
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現場に行っていろいろ見聞きすることで、本に書かれていることの真の意味を理解できるようになり、勉強している法律や自分の考え方を見つめ直す機会にもなります。
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私は銚子市の高校に通い、銚子のことは知っているつもりでいました。でもフィールドワークに行って「銚子にはこんないいところがあったのか」と発見がありました。そして、地方のいいところを広く伝える仕事がしたいと改めて思いました。それまでなんとなく考えていたことが、「自分はこうしたい」という確信に変わったように思います。
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私は漠然と「人の役に立ちたい」と思っていて、剣道も続けていたので、警察官をめざしていました。そのために法学部に入ったのですが、銚子市役所のフィールドワークで行政の仕事は市をよくするための土台となるものだと知りました。また、品川区の教育総合支援センターでは、自治体の行政職がとても多様なのだとわかりました。今、自分のやりたいことについて改めて深く考えています。選択肢が広がりすぎたぐらいかもしれませんが、知らないまま将来を選ぶよりは、ずっとよかったと思っています。人の役に立ちたいという思いもさらに深くなりました。
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実地体験によってさまざまな仕事の実情を知ると、それについて考える深さも幅もちがってきます。この経験を大学での学びにはもちろん、その後の人生にも生かしていってほしいです。